その瞬間。
篠崎澪は自分の耳を疑った。
蒼井琥翔を見つめたまま、目が真っ赤になった。
「母さん」蒼井琥翔は一言一言はっきりと言った。「妹が見つかりました」
「琥翔、もう一度言って」
彼女は十八年探し続けた。
十八年想い続けた。
十八年考え続けた。
この十八年の間、何度も希望を抱き、そしてその度に失望を味わってきた。
その気持ちは誰にも分からない。
何度も夜中に目が覚めて、枕に触れると、いつも濡れていた。
今の彼女は、もうどんな打撃にも耐えられない。
「母さん、間違いありません。妹が見つかりました」蒼井琥翔は続けた。
確かな答えを聞いて、篠崎澪は足の力が抜け、その場に崩れ落ちた。
バン!
「紅音!」
次の瞬間、普段の上品な口調を忘れ、顔を覆って号泣し、悲鳴に近い声を上げた。
この瞬間、篠崎澪の心の最後の防壁も完全に崩れ去った。
こんなにも取り乱して泣いたことは今までなかった。
病室の入り口に来ていた蒼井修誠と蒼井悠唯夫妻、そして朝倉渚は呆然と立ち尽くした。
一体何が起きたのか?
どうして突然、泣き声が聞こえてきたのか?
まさか……
蒼井大婆様に何かあったのか?
そう思い、互いに顔を見合わせると、それぞれの目に驚きの色が浮かび、急いで病室に向かった。
入るなり、床に崩れ落ちて顔を覆って泣く篠崎澪の姿が目に入った。
蒼井紫苑はこの時になってようやく我に返り、心の中の危機感を押し殺して篠崎澪の側に寄った。「お母様、お立ち上がりになるのを手伝います」
「澪、どうしたんだ?」蒼井修誠が近寄って、心配そうに尋ねた。
蒼井修誠の声を聞くと、篠崎澪は彼にしがみつき、泣き声は一向に収まらなかった。
待ちに待った。
やっと、彼らは待ち望んでいたものを手に入れた。
これからは、娘の卒業式や結婚式、出産を一緒に見守ることができる。
この瞬間、篠崎澪の気持ちを言葉で表現することはもはやできなかった。
朝倉渚は非常に困惑して近づき、「お義姉さん、一体どうしたんですか?」と尋ねた。
蒼井悠唯はすぐにベッドの方へ行き、「お祖母様は大丈夫なんですか?」
「大丈夫です」蒼井琥翔が答えた。
その返事を聞いて、蒼井悠唯はほっと胸をなでおろした。
「じゃあ、これは一体どういうことなんだ?」蒼井悠唯は続けて尋ねた。