126:大物の待遇_3

「紫苑の言う通りだ」と蒼井陽翔は続けた。「母さん、最悪の場合でも、紅音が見つからなくても、紫苑がいるじゃないか」

蒼井紫苑はこんなに孝行で、篠崎澪にこんなに優しく、実の娘と何も変わらない。

実際、篠崎澪は蒼井紅音を探すことにこだわる必要など全くない。

血のつながりがそんなに重要なのだろうか?

見つからない!

この三文字を聞いて、篠崎澪の表情が急変し、胸の内は複雑な思いで一杯になり、息をするのも困難になった。

蒼井琥翔は眉をひそめ、蒼井陽翔を見つめて言った。「黙れ!」

そう言うと、篠崎澪の方を向いて笑顔で言った。「お母さん、陽翔の戯言なんか気にしないで。諦めなければ、必ず妹は見つかります。私たちは妹と一緒に家族写真を撮るのを待っているんですから」

普段なら家族写真という言葉を聞くだけで、篠崎澪の目は期待に満ちていたものだ。

しかし今日は、蒼井琥翔の言葉は篠崎澪の心を少しも慰めることはできなかった。

蒼井陽翔もすぐに言い直した。「母さん、さっきは冗談だよ!」

篠崎澪はすっかり気が滅入ってしまい、立ち上がって階段を上がっていった。

蒼井紫苑も立ち上がった。

「ついて来なくていい」と篠崎澪は言った。

一人になりたかった。

蒼井紫苑は篠崎澪の後ろ姿を見つめ、何か言いたそうにしたが、口を開きかけて結局何も言わなかった。

篠崎澪が去ると、リビングには三人の兄妹だけが残された。

蒼井琥翔は蒼井陽翔を見て、「お前は自分の口を慎むことができないのか?」と言った。

この頃、篠崎澪の気分は明らかに良くなってきていた。

しかし今は……

蒼井陽翔は呆れて、「母さんがこんなに脆いなんて知らなかったよ」と言った。

ただのなんでもない一言だったのに、篠崎澪はこんなに反応する必要はなかった。

「実は私にも責任があります」と蒼井紫苑は申し訳なさそうに言った。「もし私がもっと上手くできていれば、母さんの姉さんへの思いを和らげることができたかもしれません」

「お前には関係ない、十分よくやってるよ」と蒼井陽翔は言った。

蒼井紫苑は自責の念に駆られて俯いていた。

蒼井琥翔は蒼井紫苑を一瞥したが、何も言わなかった。

しばらくして、蒼井琥翔は続けた。「妹は母さんの命の次に大切な存在だ。これからは言動に気をつけて、母さんを悲しませないようにしろ」

「はい」