蒼井遥真も手術室の外に戻ってきた。
篠崎澪と蒼井修誠はすぐに尋ねた。「紅音は?」
蒼井遥真は答えた。「妹はすぐに来ると言っていました。」
「見つかったの?」
両親を心配させないように、蒼井遥真は頷いて「はい」と答えた。
蒼井華和が無事だと聞いて、蒼井修誠と篠崎澪は安堵のため息をついた。
手術室内。
手術はまだ続いていた。
緊張感が漂っていた。
その時、急な声が響いた。「蒼井さん、患者の心臓が停止しました!」
心臓停止!
この言葉を聞いて、手術台の周りの医師たちも驚きはしなかった。
蒼井大婆様の心拍数はすでに低下していて、心臓停止は時間の問題だったのだ。
しかし蒼井華和は相変わらず冷静に「止血鉗子」と言った。
傍らの看護師は蒼井華和を見て、一瞬戸惑った。
心臓が停止しているのに、止血鉗子に何の意味があるのか?