134:打撃、蒼井家の本当のお嬢様!_3

蒼井陽翔は仕方なく首を振り、蒼井紫苑の手をしっかりと掴んで、「行かせない」と言った。

「お兄ちゃん!」

蒼井陽翔は続けて言った。「行かせないのは、華和に文句があるからじゃない。彼女に本当に良心があるのかを見たいだけだ。大婆様は彼女をそんなに可愛がっていた。彼女を探すために、大婆様はこの何年もの間、どれだけ多くの場所を回ったことか!でも彼女は?大婆様の手術の時にも来ない。そんな彼女に蒼井家の孫娘になる資格なんてあるのか!」

蒼井紫苑は蒼井陽翔を見つめて言った。「お兄ちゃん、私はお姉さまを信じています。きっと戻ってきます」

蒼井陽翔の顔には皮肉な表情が浮かんでいた。

蒼井華和が戻ってくるのを待っていたら、蒼井大婆様は死んでしまうだろう。

蒼井陽翔はこの件を利用して、蒼井家に蒼井華和の本当の姿を見せようとしていた。

「行こう、戻ろう」蒼井陽翔は蒼井紫苑の手を取り、二人は戻り始めた。

蒼井陽翔の見えない角度で、蒼井紫苑の口元に微笑みが浮かんだ。

もしこの時、蒼井陽翔が振り返っていたら、蒼井紫苑のその笑みが、ドラマの悪役女性の笑みそっくりだと気付いただろう。

二人は手術室の外に戻った。

春日吉珠は蒼井遥真を見て言った。「遥真、紅音はまだ戻ってこないの?」

蒼井遥真も少し焦っていた。蒼井華和は医者のところに行くとだけ言って、具体的に何をしに行ったのかは知らなかった。

今、蒼井大婆様は病院から危篤状態と宣告されており、蒼井華和がその場にいないのは確かに適切ではなかった。

蒼井遥真は言った。「じゃあ、探してきます」

春日吉珠は頷いて、「早く行って」と言った。

もし蒼井大婆様に何かあったら、一番会いたい人は間違いなく蒼井華和だろう。

蒼井炎真は頷いて、「そうだ、早く紅音を探してきて」と言った。

それを聞いて、蒼井遥真はすぐに外に向かった。

「二番目のお兄さん、私も一緒に行きます」蒼井紫苑は蒼井遥真の後を追った。

蒼井紫苑の後ろ姿を見て、蒼井遥真は眉をひそめたが、仕方なく彼女の後を追うことにした。

数人で病院の内外を隈なく探したが、人は見つからなかった。

電話は電源が切れていた。

蒼井陽翔は眉をひそめて、「もう探すのはやめた。二番目のお兄さん、自分で探してください」と言った。