129:蒼井大婆様が目覚め、DNA鑑定_7

蒼井大婆様の様子を見て、春日吉珠は「お母様、何か仰りたいことがございますか?」と尋ねた。

「何かお話になりたい場合は、まばたきをしてください」

蒼井大婆様は即座にまばたきをした。

春日吉珠は非常に興奮して、続けて「では、喉が渇いていらっしゃいますか?」と聞いた。

蒼井大婆様は懸命に目を見開いた。

「では、お腹が空いていらっしゃいますか?」

「小用がしたいのですか?」

「もしかして大便がしたいのですか?」

蒼井大婆様:「......」

食べることと排泄のことばかり!

この次男の嫁は本当に良くやってくれる。

「お母様、では何がしたいのですか?」

蒼井大婆様はもどかしくて仕方がなく、一気に全てを言い出したかったが、一言も発することができなかった。

どうすればいいのか?

そのとき、蒼井大婆様は突然、自分の左手が少し動かせることに気付いた。これなら自分の言いたいことを書き表せるのではないか?

蒼井紫苑の方に目が触れた時、蒼井大婆様はその考えを諦めた。

紫苑にこのことを知られてはいけない。

この中で、篠崎澪、蒼井琥翔、蒼井遥真、蒼井陽翔、そして蒼井紫苑だけが蒼井華和の存在を知っている。

明らかに、篠崎澪にはこの重責は担えない。

蒼井陽翔に至っては言うまでもない。

となると、残るは蒼井琥翔と蒼井遥真。

蒼井遥真はあまり策略に長けていない子で、彼に任せるのは少し不安だ。

あれこれ考えた末、やはり蒼井琥翔が最適だと思った。

蒼井琥翔は長男長孫として、成熟して落ち着いており、かつての蒼井修誠の面影がある。

そこで、蒼井大婆様の視線は即座に蒼井琥翔の顔に釘付けになった。

じっと見つめている。

商人として鋭い感覚を持つ蒼井琥翔は、すぐに蒼井大婆様の注視に気付き、「おばあ様、私に何かお話がございますか?」と尋ねた。

蒼井大婆様はまばたきをし、その後、病室内の他の人々を見回した。

蒼井琥翔は瞬時に蒼井大婆様の意図を理解し、「叔母さん、皆さんを一旦外に連れて行っていただけませんか?」と続けた。

やはり長孫は賢い!

一発で彼女の心中を見抜いた。

蒼井大婆様は立ち上がって拍手喝采したいくらいだった。

その様子を見て、蒼井紫苑は気付かれないように眉をひそめた。この老婆は何のつもり?

人に見られたくない何かを話すつもりなのか?