蒼井大婆様の様子を見て、春日吉珠は「お母様、何か仰りたいことがございますか?」と尋ねた。
「何かお話になりたい場合は、まばたきをしてください」
蒼井大婆様は即座にまばたきをした。
春日吉珠は非常に興奮して、続けて「では、喉が渇いていらっしゃいますか?」と聞いた。
蒼井大婆様は懸命に目を見開いた。
「では、お腹が空いていらっしゃいますか?」
「小用がしたいのですか?」
「もしかして大便がしたいのですか?」
蒼井大婆様:「......」
食べることと排泄のことばかり!
この次男の嫁は本当に良くやってくれる。
「お母様、では何がしたいのですか?」
蒼井大婆様はもどかしくて仕方がなく、一気に全てを言い出したかったが、一言も発することができなかった。
どうすればいいのか?
そのとき、蒼井大婆様は突然、自分の左手が少し動かせることに気付いた。これなら自分の言いたいことを書き表せるのではないか?