この数年間、彼女は蒼井家にいなかったものの、蒼井家は常に彼女の部屋を空けておき、毎月定期的に掃除をしていた。
ノックの音を聞いて、蒼井華和はすぐにドアを開けに行った。
「おばあちゃま」
「華和、もう寝たかしら?」蒼井大婆様は続けて「おばあちゃまは邪魔してないかしら?」と言った。
紅音よりも、蒼井大婆様は華和と呼ぶ方が馴染んでいた。
「いいえ、おばあちゃま、どうぞお入りください」
蒼井大婆様は部屋に入った。
机の上では、蒼井華和のパソコンがまだ点いていた。
少し古びたパソコンを見て、蒼井大婆様は「華和、お母さんが新しいパソコンを用意してくれたんじゃなかったの?新しいのは使いにくいの?すぐに別のを用意させるわ」と言った。
「結構です、おばあちゃま。私は自分のパソコンに慣れているので」と蒼井華和は答えた。
「そう」蒼井大婆様は頷き、続けて「華和、ここはあなたの家よ。これからは何か必要なものがあったら、遠慮なく言ってちょうだい」
「はい」蒼井華和は軽く頷いた。
蒼井大婆様は蒼井華和を見つめ、顔中笑みに溢れていた。この長孫娘は、見れば見るほど気に入っていた。
突然、蒼井大婆様は本題を思い出し、尋ねた。「華和、Weiboはやってる?」
「はい」と蒼井華和は答えた。
蒼井大婆様は続けて「華和、今夜はWeiboを開かない方がいいわ。あそこの人たちは皆デタラメを言っているの……」
既にお金を払ってトレンドを抑え込んだとはいえ、蒼井陽翔の影響力はまだ大きく、蒼井華和があのようなコメントを見て心を痛めることを心配していた……
「おばあちゃま、私は大丈夫です」蒼井華和は淡く微笑んで「騒がしければ騒がしいままに、私には私の道があります」
彼女は物事に動じない性格で、誰のどんな言葉にも影響されず、精神の自由を求めていた。
それを聞いて、蒼井大婆様は一瞬驚いた。
そして大きく笑い出し、「素晴らしい!さすがは私の孫娘!」
彼女は蒼井華和のこの性格が本当に気に入っていた。
物事を受け止め、手放すことができる。
これこそが真の「物に喜ばず己に悲しまず」だった。
彼女がまだ十八歳だとは信じがたかった。
その時、蒼井大婆様は胸が痛んだ。この数年間、蒼井華和が一体何を経験してきたのか、どうしてこんなにも成熟し物分かりが良くなったのか、想像もつかなかった。