そして手首の翡翠のブレスレット。
このジュエリーセット......
蒼井紫苑は知っていた。
これは蒼井大婆様の持ち物で、蒼井家の家宝であり、その価値は数百億にも及ぶ。
しかし今、これらのものが蒼井華和の身に着けられている。
蒼井家の家宝が全て蒼井華和の身に着けられているなら、彼女がこれらを身につける意味は何があるのだろうか?
道理で言えば、蒼井大婆様には孫娘が二人いて、これらのものを孫娘たちに分けるなら、彼女と蒼井華和で半分ずつにするべきだった。
でも今は?
蒼井大婆様は全てのものを蒼井華和に与えてしまった。
えこひいき。
本当にひどいえこひいきだ!
あの老婆は本当に極端なえこひいきをしている。
蒼井華和の傍らに立つ蒼井大婆様は白髪こそ目立つものの、とても元気そうで、珍しく赤いチャイナドレスを着て、濃い色のショールを羽織り、真っ白な髪に赤い花を飾っていた。