この言葉を聞いて、周防俊希も興奮した。
J様のことを聞いてから、周防俊希は特別にJ様についての資料を調べた。
J様は若くして名を成した。
国際的な生物学賞では、J様一人で半分を占めていた。
しかしJ様はとても控えめな人物で、ほとんど人前に姿を見せなかった。
周防俊希は、J様が白鷹先生の面会要請を承諾するとは思わなかった。
「本当ですか、白鷹先生?」
白鷹先生は頷き、携帯を取り出して、「ほら、J様が直接私に承諾してくれたんだ」
それを見て、周防俊希も非常に興奮した。
一方。
蒼井家。
蒼井琥翔は書斎に立ち、助手の報告を聞きながら、眉をしかめた。「どうして一切の資料がないんだ?」
言い終わると、蒼井琥翔は続けて尋ねた。「血液サンプルバンクでも関連情報は見つからなかったのか?」
助手は首を振った。
蒼井琥翔の思考は深かった。
通常なら、子供が行方不明になった場合、家族は必ず自ら警察に血液サンプルを提供するはずだ。
しかし蒼井紫苑の家族はそうしなかった。
もしかして、蒼井紫苑は行方不明の子供ではないのか?
誰かに意図的に遺棄されたのか?
そのとき。
ドアの外からノックの音が聞こえた。
助手はすぐに走って行ってドアを開けた。
「お嬢様」
来たのは蒼井華和だった。
蒼井華和は尋ねた。「兄さんはいますか?」
「はい、おります」助手は頷いて、「お嬢様、どうぞお入りください」
蒼井華和は中に入った。
助手も中まで付いて行き、気を利かせて言った。「若旦那様、私は用事を済ませてまいります。何かございましたらお呼びください」
「ああ、行ってくれ」
蒼井琥翔は頷いた。
言い終わると、蒼井琥翔は蒼井華和を見て、「妹が来たか」
「はい」蒼井華和は蒼井琥翔を見て、続けて言った。「兄さんに話があります」
彼女の表情が深刻なのを見て、蒼井琥翔はきっと重大な事態だと察し、「何があった?」と尋ねた。
蒼井華和は続けて言った。「前回、お祖母様が階段から落ちたのは事故ではないと疑っています」
この言葉を聞いて、蒼井琥翔の眉間が跳ねた。すぐにドアの方へ行き、しっかりと閉めた。
兄妹は机の傍らに座った。
「妹よ、何か発見したのか?」