周防蕾香は蒼井真緒の答えを聞いて、心が少し安心した。
蒼井真緒には明るい未来が待っているのだから、須藤悠翔のような踏み台に影響されてはいけない。
外にいた須藤悠翔は、その場に立ち尽くし、自分の耳を疑うほどだった。
しかし現実は彼に、これが真実だと告げていた。
これこそが本当の蒼井真緒だった。
彼女はずっと偽りの仮面の下で生きていたのだ。
滑稽だ。
本当に滑稽だ。
この瞬間、須藤悠翔の体から力が抜け、背筋が寒くなった。
バン--
須藤悠翔の手から保温ポットが床に落ちた。
誰も彼の今の気持ちを理解することはできないだろう。
彼は蒼井真緒をとても信頼し、唯一の親友だと思っていた。
しかし結局は.......
彼の信頼は笑い話でしかなかった。
外の音を聞いて、蒼井真緒と周防蕾香は目を合わせ、お互いの目に緊張の色を見た。