早乙女恵子は徐々に落ち着きを取り戻した。
嶽本登志は続けて言った。「これは全て蒼井さんのおかげだ。恵子、蒼井さんにしっかりとお礼を言わないとな。」
早乙女恵子は頷き、以前蒼井華和に騙されていると誤解していたことを思い出し、心に恥ずかしさを感じながら、同時に疑問も湧いてきた。「私はもう随分前から蒼井さんの薬を飲んでいなかったはずなのに、なぜ妊娠できたの?」
嶽本登志は笑いながら言った。「毎日食べている料理に漢方薬の香りがしていたことに気付かなかったのか?」
それを聞いて、早乙女恵子は目を丸くした。「まさか?」
嶽本登志は頷いて、「蒼井さんから完成した薬を貰って、粉にして、お前の料理に混ぜていたんだ。」
そういうことだったのか!
早乙女恵子は再び目を赤くし、嶽本登志を抱きしめた。「あなた、ありがとう!」