145:華和は顔面打ちの達人_3

蒼井華和は軽く頷いた。

高城おばさんは蒼井華和を見て、「お嬢様、朝食の準備ができましたが、洋食と和食のどちらがよろしいでしょうか?」

「和食で結構です」と蒼井華和は答えた。

「かしこまりました。少々お待ちください」

蒼井華和を見て、篠崎澪は笑顔で言った。「華和、こっちに来て。紫苑のマッサージの腕前がとても良いわ。あなたも試してみたら?」

母親として、何か嬉しいことがあれば、真っ先に子供たちと分かち合いたいと思うものだ。

それを聞いて、蒼井紫苑の心は冷え込んだ。

蒼井華和にマッサージをさせろだって?

なぜ?

私は蒼井華和の使用人なの?

しかし今の蒼井紫苑は心の中の思いを表に出すことはできず、蒼井華和に笑顔を向けて「お姉様、こちらにどうぞ。マッサージさせていただきます」と言った。

無料でマッサージが受けられるなら、蒼井華和が断る理由はなかった。

すぐに座った。

「ご苦労様」

椅子に座る蒼井華和を見て、蒼井紫苑は怒りで爆発しそうだった。

蒼井華和が丁重に断るだろうと思っていた。

まさか本当に座るとは思わなかった。

本当に使用人扱いするつもり?

蒼井紫苑は心の中の怒りを必死に抑えて、「いいえ、当然のことです」と言った。

言い終わると、蒼井紫苑は蒼井華和の元へ行ってマッサージを始めた。

姉妹がこんなに仲良く過ごす様子を見て、篠崎澪は笑顔で「どう、紅音?紫苑のマッサージの腕前、なかなかでしょう?」と言った。

「確かにいいですね」と蒼井華和は淡々と答えた。

蒼井紫苑は目に宿る怒りを隠した。

そのとき、蒼井大婆様が近づいてきて、面白がるように「私にもマッサージしてちょうだい」と言った。

マッサージが好きなんでしょう?

それなら存分にやらせてあげましょう!

蒼井紫苑は仕方なく蒼井大婆様の側へ行った。

この嫌な老婆!

本当に気持ち悪い。

蒼井大婆様はソファーに横たわり、まるで手に負えない当たり屋のおじいさんのように「うーん、いいわいいわ、ここをもう少し強く。何も食べてないみたいな力の入れ方ね?」

それなのに、蒼井紫苑は怒ることもできず、歯を食いしばって笑顔で「おばあ様、このくらいでしょうか?」と言った。