145:華和は顔面打ちの達人_2

蒼井華和は今や帝都の蒼井家のお嬢様である。

だから、河内市での婚約は当然無効となる。

篠崎澪は続けて言った。「今の問題は紅音が如月家との関係を断ち切りたがらないことよ。」

「なぜだ?」蒼井修誠は尋ねた。

篠崎澪は眉をひそめ、「あの子は本当に如月廷真のことを好きになってしまったみたいなの。」

「どうしてそう思うんだ?」蒼井修誠は尋ねた。

篠崎澪は説明した。「さっき紅音とこの件について話したの。紅音は私が想像していたほど如月廷真は駄目な人間じゃないって言うのよ。見たところ、あの子は今、頭の中が如月廷真でいっぱいみたい。修誠、この件をどう処理したらいいと思う?」

それを聞いて、蒼井修誠も眉をひそめた。

蒼井華和は蒼井家のお姫様で、手の中で大切に育てた宝物だ。今突然このような話を聞かされて、蒼井修誠は当然受け入れられなかった。

「紅音は本当にそう言ったのか?」蒼井修誠は続けて尋ねた。

「ええ。」篠崎澪は頷いた。

彼女は母親ではあるが、あまり強く言えないこともある。結局のところ、蒼井華和は彼女が育てた子供ではなく、親子とはいえ何か壁があるように感じていた。

もしこれが蒼井紫苑なら、もう少し対応しやすかっただろう。

どう考えても、蒼井紫苑は彼女が一から育てた子供なのだから。

篠崎澪は続けて言った。「どうしたらいいと思う?」

蒼井修誠はタバコに火をつけ、「焦るな、様子を見よう。紅音はしっかりした考えを持っている子だ。彼女が如月廷真を選び、あんな言葉を口にしたということは、如月廷真には彼女を惹きつける何かがあるということだ。」

蒼井修誠は蒼井華和の目を信じていた。

ここまで話して、蒼井修誠は続けた。「もし紅音が本当に如月廷真のことを好きなら、私たちは支持してやろう!」

それを聞いて、篠崎澪は驚いて目を見開いた。「何を言ってるの?」

蒼井修誠は笑いながら言った。「私たち親として、一番の願いは子供の幸せを見ることだ。だから、紅音が好きなら、私は全面的に支持する。確かに如月家の息子にはビジネスの才能がないかもしれないが、うちの力があれば、相手の家がどれほど優れているかは問題じゃない。どうせ私たちの財産は全て華和のものになるし、華和のものは二人のものになるんだから!」

自慢じゃないが。