真壁母は西園寺雅乃が大嫌いだった。
この世の中で、子供を産まない女性なんて、どれだけいるというの?
西園寺雅乃だけが高尚で、他人とは違うというわけ!
当初、真壁駿介が西園寺雅乃と結婚すると言い出した時、真壁母は反対した。結局のところ、真壁家には後継ぎが必要なのだから。
卵を産まない雌鶏を、飾りものとして迎え入れるつもり?
息子は大学院を卒業したのよ。どんな嫁でも迎えられるはずなのに、なぜ卵を産まない雌鶏を選ぶの?
でも西園寺雅乃はあまりにも裕福だった。
仕方なく、真壁母も同意するしかなかった。
「パパ!」
そのとき、小さな女の子が別荘から飛び出してきて、真壁駿介に抱きついた。「パパ、お帰り!」
小さな女の子はピンク色のダウンジャケットを着て、六、七歳くらいで、肌が白く、とても可愛らしかった。