154:西園寺雅乃が目覚め、一文無しで出ていけ!_2

人混みの向こうから、須藤佳希は言った。「私、彼女と同じコートを持ってるわ」

「なんか西園寺叔母さんに似てない?」

須藤佳希は目を細めて推測した。「もしかして西園寺叔母さんが、クズ男の本性に気づいて、路上で号泣してるのかしら?」

そう言いながら、須藤佳希は続けた。「まさか!西園寺叔母さんはプライドの高い人だから、泣くにしても路上で泣くようなことはしないはず!」

西園寺雅乃との長年の付き合いで、須藤佳希は彼女が泣いているところを一度も見たことがなかった。

だから、絶対に西園寺雅乃じゃないはずだ。

そのとき。

蒼井華和は目を細めて、その女性の腕時計に目を向けた。「須藤叔母さん、あの人、西園寺叔母さんみたいです」

「まさか!西園寺叔母さんがどんなに傷ついても、こんなことはしないわ」