「うん」真壁駿介は頷いた。
その言葉が落ちると、真壁母はまた尋ねた。「駿介、あの件はどうなった?」
「何の件?」真壁駿介は聞き返した。
真壁母は言った。「もちろん、光継を認知させる件よ!」
真壁母は教養こそないものの、真壁光継は西園寺雅乃の名義で養子にしなければ、正当に財産を相続できないことを知っていた。
それを聞いて、朝日奈涼香も真壁駿介を見つめた。
彼女も息子に他の女性を母親と呼ばせたくはなかったが、西園寺雅乃にすべてを惜しみなく息子に与えてもらうためには、心を鬼にして息子を西園寺雅乃に渡さなければならなかった。
真壁駿介は笑いながら言った。「安心して、その件は既に進めているよ。できるだけ早く彼女を説得して光継を養子にしてもらうようにする」
真壁母は大いに不機嫌になった。「何が養子よ、光継は元々私たち真壁家の血を引いているのよ!卵も産めないメスに何を恐れることがあるの!はっきり言ってやりなさい。本当に離婚する勇気があるのか見てやりましょう!」