159:彼女は人間の富貴花、蒼井華和に惚れた_5

まさか女性側から持参金として三百五十万円を要求されるとは思いもよりませんでした。

二人はこの持参金の額を聞いて、すぐに婚約を破棄しようとしましたが、若松七宝がその娘に一目惚れしてしまい、両親に死をもって脅し、若松山根と橘秀実に血を売ってでも腎臓を売ってでもその三百五十万円を用意するよう迫ったのです。

仕方なく、二人は頷いて、何とかする方法を考えると約束しました。

方法を考えているところに、天から福が舞い降りてきました。

橘秀実は頷きながら、わざとらしい涙を流して泣きながら言いました。「はい、はい、あの子は私たちの五女です。警察官さん、実は私たちには五人の娘と一人の息子がいて、二人の娘は幼い頃に病気で亡くなり、もう一人は人さらいに連れ去られてしまったんです。私たち夫婦は生きている間に彼女に会えるなんて夢にも思っていませんでした...」