159:彼女は世の中の富貴の花、蒼井華和に恋をした_6

臓器売買は冗談ではなかった。

若松七宝は既に買い手まで見つけていた。

腎臓一つで15万元、二つなら30万元だ。

橘秀実は笑いながら言った。「七宝、安心して。お金はもう両親が用意したわ!」

そう言って、橘秀実は町から引き出したばかりの現金を取り出した。「七宝、これを先に使いなさい。残りは五番目の姉さんが帰ってきたら、お母さんがあげるから。約束するわ、あなたの結婚式は必ず立派にしてあげるから。」

「五姉?」若松七宝は眉をひそめ、橘秀実に向かって拳を振り上げた。「もし嘘をついているなら、殴り殺すぞ!」

若松七宝が両親を殴るのは初めてではなかった。

しかし、彼がどれほど強く殴っても、若松山根と橘秀実は息子を責めることはなかった。

むしろ、息子が自分の手を痛めていないかと心配するほどだった。

それを聞いて、橘秀実はすぐに五女の件について説明した。

なんと結納金が50万元もあるのだ!

若松七宝の表情は一瞬にして晴れやかになり、橘秀実から渡されたお金を受け取って笑顔で言った。「ありがとう、母さん!」

「私のバカな息子」橘秀実は嬉しくて仕方がなかった。「お母さんに何のお礼よ!」

この長男は本当に親孝行だ!

若松七宝はすぐに尋ねた。「じゃあ、いつ帰ってくるの?」

「今月中のはずよ。」

若松七宝は目を細めた。「じゃあ、もう少し時間をあげよう。」

「安心して、この件は両親に任せておきなさい。」橘秀実は胸を叩いた。

若松七宝はお金をしまい、続けて言った。「遊びに行ってくる。今夜は帰らない。」

「はいはい」橘秀実は息子の夜遊びにもう慣れていた。「七宝、気を付けてね。」

若松七宝は何も言わず、振り返りもせずに中庭を出て行った。

若松山根が家に戻ってきた。

家の中は若松七宝によってめちゃくちゃに荒らされていた。

これは若松七宝の悪い癖だった。

両親が彼の要求を満たさないと、物を壊し始めるのだ。

夫婦は息子を責めるどころか、電話で若松美織を罵倒した。

若松美織が毎月送ってくるお金があまりにも少ないから、若松七宝は結納金さえ用意できないのだ。

姉として、若松美織は弟の面倒を見るべきだ!

結局のところ、若松七宝は若松家の跡継ぎとなる唯一の息子なのだから。

電話を切った若松美織は向こうで声を上げて泣き出した。

河内市。