159:彼女は人間の富貴花、蒼井華和に惚れた_3

言葉が落ちると、周防紫月はさらに付け加えた。「私の叔父さんは香り高いダイヤモンドバチェラーよ!」

唯一の欠点は、あまりにも倹約家すぎることだけ!

この言葉に皆は大笑いした。

朝比奈瑠璃は続けて言った。「白川さんは恋人に何か条件があるんですか?」

ずっと黙っていた白川さんは言った。「紫月の戯言を真に受けないでください。」

「何が戯言よ」周防紫月は彼を一瞥して、呆れた様子で言った。「もしあなたが早く叔母さんを見つけないと、年を取って誰も貰い手がなくなるわよ!」

朝比奈瑠璃は軽く笑い声を漏らした。

この叔父と姪の仲の良さが見て取れた。

周防紫月は朝比奈瑠璃にウインクして、からかうように言った。「母が言うには、叔父さんの恋人の唯一の条件は、女性であることだけなんですって。母方の実家では叔父さんが一人っ子だから、彼で家系が途絶えるわけにはいかないの。」

この言葉に、皆はさらに大きく笑った。

朝比奈瑠璃はそっと目を上げ、向かいに座る男性を見た。

ある詩を思い出さずにはいられなかった。

公子ただ画に見えるべし、此の中我独り津を知る。

水尽き天の涯まで書きて、定めて塵土の間の人に非ず。

彼女はこれまで一度も男性にこれほど心惹かれたことがなかった。

この感覚。

とても不思議だった。

一目惚れという言葉があるのも納得だ。

彼女は、おそらく一目惚れしてしまったのだろう。

今日は間違いなく彼女のラッキーデーだった。

まず両親の消息があり、そして今、心を揺さぶる人に出会った。

朝比奈瑠璃は目尻を下げて笑った。

夜の9時。

皆はお互いに別れを告げ、それぞれの家に帰った。

橘忻乃と結城詩瑶は家の車が迎えに来た。

朝比奈瑠璃は近所に住んでいたので、歩いて帰ることにした。

蒼井華和はいつも通り自転車で帰った。

白川さんと周防紫月はタクシーに乗った。

白川さんは河内市に別荘を持っていた。

すぐに。

タクシーは別荘の前で停まった。

「合計18.5円です。」運転手は言った。

白川さんはメーターを見て、「18.45円ではありませんか?」

運転手は呆れた様子で、「5銭だけですよ!お客様、今時10銭で何が買えますか?切りの良い数字にした方が、お釣りも出しやすいでしょう。」