白川という姓のようだ。
そのとき、橘忻乃が「何を食べましょうか?」と尋ねた。
「この時期のザリガニは美味しいわよ。まずは5斤のザリガニはどう?」と蒼井華和が提案した。
この時期、他の地域ではまだ春だった。
しかし河内市ではすでに半袖を着てザリガニを食べる季節になっていた。
それを聞いて、白川さんの視線が何気なく店の看板を横切った。
そこには書いてあった。
ザリガニ58元/斤。
5斤で290元になる。
他の料理を加えると、この食事で少なくとも500〜600元はかかるだろう。
今の屋台はこんなに高いのか。
白川さんの心は血を流していた。
しかし、この食事は姪っ子のおごりだと思うと、心の痛みは和らいだ。
「いいわね」と周防紫月が賛同し、「私は豆腐の土鍋も食べたいわ」
橘忻乃が「じゃあ、私は野菜炒めを追加するわ」と言った。
そして続けて「詩瑶と司緒、あなたたちは何を食べる?」と尋ねた。
結城詩瑶が「水煮肉を追加してもいい?」と言った。
周防紫月が大きく手を振って、「もちろん!今夜は私のおごりだから、好きなものを注文して」
「ありがとう、紫月」橘忻乃は周防紫月と似た性格で、すぐに親しげに紫月の腕を組んだ。
「どういたしまして」
朝比奈瑠璃は青菜炒めを追加し、メニューを白川さんに渡した。周防紫月の目上の人だと考えて、「ご覧になりますか?」
白川さんはメニューを受け取り、「足りなければ追加しましょう」と言った。
姪っ子の支払いとはいえ、無駄遣いはできない。
地球のためにエネルギーを節約しなければならない。
すぐに料理が運ばれてきた。
蒼井華和はゆっくりとザリガニの殻を剥いていた。
手袋はしていなかった。
白い指先が殻に触れ、まずは頭を捻り取り、片手で尾を持ち、もう片手で身を掴んで軽く引っ張る。
完璧な尾の身がそうして剥き出された。
尾の身を剥いた後、麻辣の効いた出汁につけ、口に入れて軽く噛むと、身は引き締まっており、ザリガニの旨味が麻辣スープに包まれ、ジューシーで香り豊かで、舌まで飲み込みたくなるほどだった。
尾を食べ終わると、蒼井華和は頭も見逃さず、中の卵黄を吸い尽くした。
彼女の食べ方は意図的に上品ぶったものではなかった。
しかし、その所作には気品が漂い、見ていて心地よく、味覚まで刺激された。