157:如月廷真は静園さんだった!_5

一方の如月家。

今日は如月家の者は誰も出かけていなかった。

もうすぐ11時半になるというのに、如月廷真はまだ人を連れて帰ってこない。早坂明慧は少し焦り、何度も腕時計を見ていた。

時間から計算すると、もう迎えに行った人と会えているはずなのに。

どうしてまだ何の動きもないのだろう?

矢野花音は笑いながら言った。「お母さん、焦らないで。来るべき時が来るものです。焦っても仕方ありませんよ」

二重の意味が込められていた。

来るべきものとは何か?

もちろん、婚約破棄だ!

蒼井華和がまだ現れないのは、きっと如月廷真と話をはっきりさせた後、帰ってしまったからに違いない。

篠崎月蓉は頷いて、「お姉さんの言う通りです」と言った。

「ママ、お腹すいた」そのとき、篠崎月蓉の6歳の息子、如月墨弦がテーブルの上の果物を取ろうとしたが、篠崎月蓉に手を払いのけられた。「空気の読めない子ね。この果物はあなたのために用意したものじゃないでしょう!お腹を壊すわよ!」