157:如月廷真は静園さんだった!_3

母親のそんな様子を見て、如月廷真は薄い唇を開いた。「母さん、先に二階に上がります。」

「ちょっと待って。」早坂明慧は如月廷真にカードを渡した。「これを持っていなさい。」

そう言って、早坂明慧は続けた。「このカードには五百万円入っているわ。使い切ったら、また母さんに言いなさい。華和とお付き合いするなら、絶対に女の子にお金を使わせてはダメよ。品がないし、紳士的じゃないわ。」

「母さん、僕はお金に困ってません。」如月廷真はカードを母親に返そうとした。

「取っておきなさい!」早坂明慧は直接カードを如月廷真のポケットに入れた。

「本当に要りません。」

そのとき、如月大爺様が階段を降りてきた。「お前の母親からのを断るなら、私からのは受け取るだろう?」

「おじいちゃん、本当に今はお金に困ってないんです。」如月廷真は続けた。「峰也と一緒にプロジェクトに投資して、今は利益が出始めているんです。」

如月大爺様はその言葉を真剣に受け止めなかった。

若松家グループは今や若松家のあの私生児の若松岳登に乗っ取られている。若松峰也は私生児にも勝てないのだから、どこに商才があり、投資能力があるというのか?

二人が本当に投資したとしても、きっと誰かに騙されているだけだろう。

水に金を捨てるのと変わらない。

如月大爺様は顔を引き締めて言った。「私は今、心臓病持ちなんだぞ。お前がこのカードを受け取らないなら、今すぐ発作を起こしてみせるぞ!」

そう言いながら、すぐに胸に手を当て、いつでも発作が起きそうな様子を演じた。

そんな祖父の様子を見て、如月廷真は仕方なく、カードを受け取った。

それを見て、如月大爺様はようやく満足げに頷いた。

これで今後は廷真が恋愛にお金で困ることはないだろう。

彼は毎月廷真にカードを一枚渡すつもりでいた。

如月廷真は如月大爺様を見つめて言った。「おじいちゃん、もう二階に上がってもいいですか?」

「ああ、いいとも。」如月大爺様は道を開けた。「上がって休みなさい。明日は格好よく着飾って、華和を魅了するんだぞ!」

如月廷真:「......」

彼には、如月大爺様が一度死に直面して以来、人が大きく変わったように感じられた。

今の如月大爺様は、まるで年老いた子供のようだった。