157:如月廷真は静園さんだった!_2

このことを思い出すだけで、篠崎月蓉は腹が立って仕方がなかった!

息子たちなのに。

普段からあの役立たずに余分な分け前を与えているのに?

あの役立たずに何の資格があるというの?

それを聞いて、早坂明慧は篠崎月蓉を見上げて言った。「月蓉、その言い方は酷すぎないかしら?廷真はただ一時的に低迷期にいるだけよ。私は彼がいつか這い上がってくると信じているわ!」

母親として、どんな時でも自分の息子を信じていた。

彼女は如月廷真がきっと立ち上がり、皆を驚かせると信じていた!

その言葉を聞いて、篠崎月蓉は思わず笑いそうになった。

這い上がる?

如月廷真が?

それは一億円の宝くじに当たる確率よりも低いわ。

男は三十にして立つ。

如月廷真は今年26歳で、あと4年で而立の年だというのに、今に至るまで親のすねかじりの状態。こんな人間が再び立ち上がるなんて、生まれ変わらない限り無理でしょう。

「お母さん、良薬は口に苦し、忠言は耳に逆らうものよ。この道理はわかっているはずでしょう。義理の姉として、私は誰よりも三男が奮起して如月家の名誉を高めることを願っています。でも、それは私の意志で決められることなのかしら?」

そう言って、篠崎月蓉はため息をついた。

その言葉を聞いて、早坂明慧は心中穏やかではなかった。

如月志弘はどうでもよかった。

どうせもうこうなってしまったのだから。

今彼らにできることは、冷静になって如月廷真に価値のあるものを少しでも残してやることだけだった。

「お父さん、お母さん。」

そのとき、すらりとした姿が外から入ってきた。

男はアイロンの効いた手作りのスーツを着て、背が高く玉のように美しく、一歩一歩、身から気品のある雰囲気を漂わせていた。

高貴な様子だった。

もし知らない人なら、きっとこれは何か成功した大物だと思うだろう。

残念ながら。

目の前の人物は、見た目だけの空っぽな器で、誰もが知る役立たずだった。

「廷真が帰ってきたわ。」

「うん。」

早坂明慧は全ての感情を隠し、笑顔で迎え入れた。「末っ子、疲れたでしょう?お母さんが厨房でツバメの巣を煮込んでもらったのよ。」

早坂明慧のその様子を見て。

矢野花音と篠崎月蓉は呆れた。

この姑は頭がおかしいんじゃないの?

こんな役立たずの息子にそんなに良くしてやって!