164:賢い蒼井琥翔、当時の真相(2更)

秘書は手元の資料を蒼井琥翔に渡した。

蒼井琥翔は手を伸ばして受け取り、数ページめくってから眉をひそめた。

秘書は続けて言った。「二番目のお嬢様が当時連れて来られた日付に基づいて、二番目のお嬢様が発見された場所を長く調査しました。近くのすべての病院で生まれた赤ちゃんも調べましたが、二番目のお嬢様と一致するものはありませんでした。子供が行方不明になったという通報もありませんでした。」

ここで秘書は一旦言葉を切り、「ですので、二番目のお嬢様は生まれてすぐに捨てられたのではないかと疑っています。」

捨てられた?

蒼井琥翔の瞳の奥に深い色が宿った。

もし捨てられたのなら、どうして偶然にも篠崎澪に拾われたのだろうか?

当時の篠崎澪は子供を失ったばかりで、間もなく捨て子を拾った。これは偶然にしては出来すぎている。