163:彼の人を、彼が可愛がる_6

全て蒼井華和の好きな食べ物だった。

篠崎澪が言った。「華和、先にご飯を食べましょう。食べ終わったら一緒に試験会場に行きましょう」

「はい」蒼井華和は座って食事を始めた。

蒼井大婆様は部屋のドアを開けて出てきて、手に持っているものを蒼井華和に渡した。「華和、これはお婆ちゃんがお寺で特別にお願いして貰ったお守りよ。ポケットに入れておけば、仏様があなたの大学入試を守ってくださるわ!」

「はい」蒼井華和は笑顔で頷いた。

篠崎澪が言った。「お母さん、それは迷信ですよ!」

実際に目にしなければ、戦場で無敵だった女将軍がこんな封建的な迷信を信じているなんて誰が思うだろうか?

蒼井大婆様はすぐに両手を合わせた。「仏様、どうかお許しください。知らぬ者は罪なしです」

そう言って、篠崎澪を見つめた。「黙りなさい」