162:本当の目的!(2更)

「可依」

早坂明慧は一瞬固まり、その後、何かを思い出したかのように、すぐに椅子から立ち上がり、目の前の少女を見つめ、目に不確かな色を浮かべながら「可依なの?」と尋ねた。

久遠家と如月家は隣同士だった。

両家の関係は良好で、普段は特別な付き合いはなかったものの、この数年間も特に摩擦はなかった。

どちらかの家に何かあれば、一言声をかけるだけで、必ず誰かが応じて助けてくれた。

遠い親戚より近くの他人という言葉があるように。

久遠可依は幼い頃から留学していて、それ以来めったに帰国せず、可依を最後に見たのは十六年前だった。

その時の可依はまだ子供だったのに!

あっという間にこんなに時が過ぎてしまった。

「はい、可依です」久遠可依は頷き、笑いながら言った。「私、隣に住んでいるんですよ!明慧叔母さん、本当に私のことを忘れてしまったんですか?」