162:本当の目的!(2更)

「可依」

早坂明慧は一瞬固まり、その後、何かを思い出したかのように、すぐに椅子から立ち上がり、目の前の少女を見つめ、目に不確かな色を浮かべながら「可依なの?」と尋ねた。

久遠家と如月家は隣同士だった。

両家の関係は良好で、普段は特別な付き合いはなかったものの、この数年間も特に摩擦はなかった。

どちらかの家に何かあれば、一言声をかけるだけで、必ず誰かが応じて助けてくれた。

遠い親戚より近くの他人という言葉があるように。

久遠可依は幼い頃から留学していて、それ以来めったに帰国せず、可依を最後に見たのは十六年前だった。

その時の可依はまだ子供だったのに!

あっという間にこんなに時が過ぎてしまった。

「はい、可依です」久遠可依は頷き、笑いながら言った。「私、隣に住んでいるんですよ!明慧叔母さん、本当に私のことを忘れてしまったんですか?」

早坂明慧は笑顔で可依を抱きしめ、「可依は美人になったわね。叔母さん、もう見分けがつかないわ!」

久遠可依は典型的な美人だった。

卵形の顔に、アーモンドの目、西洋文化の影響を受け、全体的に自信に満ち、魅力的な雰囲気を醸し出していた。

「そんなことないです。私は昔のままですよ」久遠可依は甘い言葉を並べた。「それより叔母さんこそ、ますます若くなられましたね」

早坂明慧は可依の言葉に喜び、笑いが止まらなかった。

「そうそう、明慧叔母さん、これ海外からのお土産です。どうぞお受け取りください」そう言って、可依は手に持っていた贈り物の袋を早坂明慧に渡した。

早坂明慧は笑いながら言った。「あなたったら、はるばるU国から帰ってきたんだから、お母さんにたくさんお土産を持って帰ればいいのに、私になんて!」

セレブ社会に精通している早坂明慧は、可依が持ってきたのが海外の高級ブランドの限定版美容クリームだと一目で分かった。

お金があっても1年前から予約が必要なものだった。

早坂明慧も予約しようとしたが、運が悪く、毎回他の人に先を越されていた。

そのため、このクリームが発売されて3年経つが、一度も使ったことがなかった。

突然誰かがこのクリームをプレゼントしてくれるなんて、早坂明慧はとても驚いた。