166:各名門校に引っ張りだこの華和_3

#河内市で初の満点全国模試の首席合格者が現れた。#

#十年に一度の快挙!#

#北橋高校が再び栄誉を獲得!#

その時、葉山雄大はようやく気づいた。作文で満点を取った人は蒼井真緒ではなかったということを......

その人は何と蒼井華和だったのだ!

どうして蒼井華和なんだ?

葉山雄大は今とても苦しい気持ちで、数日前にSNSに投稿した内容を思い出し、その場で消えてしまいたいほどだった。

当時、蒼井真緒が首席を取ることは間違いないと思い、SNSで彼女に祝福の言葉を送っていたのだ。

しかし今は。

蒼井真緒はたった五百点台しか取れなかった!

これでは人に会わせる顔がない!

「ああ!」葉山雄大は手にしていたコップを床に投げつけた。

バン--

コップは瞬時に粉々に砕け散った。

そのとき、葉山雄大の電話が鳴り響いた。

彼は携帯を手に取った。

登録名。

若松校長。

校長がこんな時間に何の用だろう?

葉山雄大は電話に出た。「はい。」

彼が「はい」と言い終わるか終わらないかのうちに、校長は激しい口調で叱責した:「葉山!お前のやらかした愚行を見てみろ!」

「どうしたんですか、校長?」葉山雄大は一瞬固まった。

若松校長は続けた:「私の記憶が正しければ、蒼井華和は以前お前のクラスだったはずだ。お前が退学させたあの落ちこぼれが何点取ったか知っているのか?六科目全て首席だぞ!これが我が校にとってどういう意味を持つか分かっているのか?」

若松校長の今の気持ちを理解できる人はいなかった。

満点首席は本来彼らの学校の生徒だったのに!

しかし、葉山雄大の無知のせいで、彼らの学校はこの首席を失ってしまったのだ。

若松校長と北橋高校の高城校長は宿敵同士で、両校は表立っても裏でも競い合い、どちらも百年の名門校になることを目指していた。

しかも、両校の大学入試の平均点はほぼ同じだった。

そのため、両校の知名度もほとんど変わらなかった。

しかし蒼井華和の件以降、北橋高校は百年の名門校の称号を確実なものにした。

インターナショナルスクールが追いつくためには、もう一人大学入試で満点を取るような超優秀な学生を出すしかない。

しかし、そのような優秀な学生は、まさに千載一遇の存在だ。

河内市全体でも、十年に一人出るかどうかだ。

葉山雄大も後悔していた。