166:各名門校に引っ張りだこの華和_4

蒼井陽翔は笑顔でカメラを見つめ、「まず光栄なことに、こんな妹がいることです。彼女は本当に凄いんです。私は彼女の兄であり、ファンでもあります」と語った。

この言葉に、会場から悲鳴が上がった。

蒼井陽翔は蒼井華和のことをあまり好いていなかったが。

今回は、蒼井華和に本当に衝撃を受けた。

まさか華和が六科目全てで満点を取るとは思ってもみなかった。

「蒼井トップスター、妹さんはどの大学を志望されているのか、教えていただけませんか?」

蒼井陽翔は微笑んで答えた。「その件に関しては、私も家族も彼女の選択を尊重しています」

インタビュー終了後、蒼井陽翔は着替えてサングラスをかけ、裏口から出ようとした。

その時、空気を切り裂くような声が聞こえた。

「蒼井君、ちょっと待って!」

蒼井陽翔が振り返ると、五十歳前後の中年男性が立っていた。

薄い髭を生やし、男らしい雰囲気を醸し出していた。

これは80年代を席巻した音楽界の帝王、神原智也だった。

神原智也は芸能界から長年遠ざかっているものの、その影響力は依然として強く、現在は多くの大作に投資しているため、新進気鋭のトップスターである蒼井陽翔でさえ、先輩と呼んで敬意を表さねばならなかった。

「先輩」

神原智也は頷き、続けて言った。「おめでとう、蒼井君。君の妹さんが今年の全国トップで、しかも十年に一人の満点合格者だそうじゃないか」

「ありがとうございます」

神原智也は続けた。「私の娘は今年十七歳で、来年センター試験を受けるんだ」

「そうなんですか?」この知らせに、蒼井陽翔は少し驚いた。

神原智也には子供がいないと思っていたのに、その子供がもうセンター試験を受けるなんて。

神原智也は蒼井陽翔を見つめ、「もし可能なら、君の妹さんの勉強資料を娘に貸してもらえないだろうか?」

全国トップの勉強資料なんて、誰もが欲しがるものだ。

たとえ役に立たなくても、縁起物として持っているだけでもいいものだ!

そう言うと、神原智也は続けた。「娘がちょうどニュースでこの話を知って、すぐに私に電話してきたんだ。君の妹さんが可愛いとも言っていたよ」

蒼井陽翔は、憧れの神原智也に初めて声をかけられたのが、妹の華和のおかげだとは思ってもみなかった。

その瞬間、蒼井陽翔の心は感慨深いものがあった。