166:各名門校に引っ張りだこの華和_5

コツコツと。

一歩一歩、まるでピアノの鍵盤を踏むかのように、心臓の鼓動が早くなる。

美女はタバコを指で挟みながら、笑顔で神原智也に挨拶した。「神原兄。」

神原智也は笑いながら言った。「柚木大美人、どこから来たの?」

来た人は柚木昭乃という。

優しい名前だが、その艶やかな顔立ちと大人の女性の雰囲気とは不釣り合いだった。

柚木昭乃も歌手で、全部で五曲歌っている。

どの曲も名曲だ。

そのうち二曲は、とある大ヒットドラマの主題歌だった。

彼女は歌と同じように、とても個性的で、派手で強気な性格で、一度見たら忘れられない存在だった。

柚木昭乃はタバコを一服吸って、「何となく忙しくしてるだけよ。」

「そう、じゃあ話してて。俺用事があるから先に行くよ。」神原智也は蒼井陽翔に一声かけて、その後立ち去った。