「はい」
朝比奈瑠璃は頷いた。
ミルクティー店ではエアコンが効いていて、とても快適だった。
もし朝比奈瑠璃の向かいに好きではない人が座っていなければ、彼女の気分はもっと良かったかもしれない。
黒川振一は無理やり話題を探し続けていた。
朝比奈瑠璃は嫌な表情を見せないよう、できるだけ笑顔で答えていた。
そのとき、朝比奈瑠璃はグループのビデオ通話を受信した。
普段なら、家の電波が悪いので受けられなかっただろう。
しかし町の電波は悪くなかったので、朝比奈瑠璃はイヤホンを取り出し、黒川振一を見上げて「すみません、黒川兄貴、ちょっとビデオ通話に出ます」と言った。
「いいよいいよ、どうぞ」
黒川振一はそう言いながら、こっそりと朝比奈瑠璃のスマホ画面を覗き見た。
どうやらグループのようだった。