174:え、えらい人?(2更)

イケメンが突然空から降りてきて、蒼井華和の前に立ち、送ると言った。

これは結城詩瑶と橘忻乃を驚かせた。

しばらくして、橘忻乃は我に返り、結城詩瑶を引き連れて蒼井華和の前に歩み寄り、目に八卦の色を浮かべながら「蒼井美人、知り合いなの?」と尋ねた。

そう言いながら、彼女は如月廷真を上から下まで見渡した。

男は背が高く、脚が長かった。

体つきは引き締まっていた。

シンプルな白いシャツと黒いスーツパンツを着ていたが、とてもシンプルな服装なのに、近寄りがたい冷たさを醸し出していた。

まるで恋愛小説から飛び出してきた高圧的なCEOのような男だった。

しかし、言った言葉は少し信じがたかった。空港で蒼井華和を送る?

何で送るの?

連絡バスでも?

橘忻乃は視線を戻し、「さっき蒼井美人を送るって言ったの?」と尋ねた。

「ああ」如月廷真は軽く頷いた。

橘忻乃は彼を見て、「何で送るの?ここ空港よ!あなたの家に飛行機でもあるの?」

如月廷真は平然とした表情で、「私の家にはない」と答えた。

橘忻乃が彼を嘲笑おうとした時、飛行機もないのに蒼井美人を追いかけようなんて!

しかし、男は薄い唇を開き、続けて言った。「でも、私は持っている」

橘忻乃:「......」

す、すごい人?

言い終わると、如月廷真は蒼井華和を見て、「どこへ行く?」と尋ねた。

蒼井華和は携帯の時間を確認して、「富士市よ。時間ある?」

「大丈夫」

蒼井華和は橘忻乃と結城詩瑶の方を向いて、「忻乃、詩瑶、私先に行くわ。二人は帰って私の連絡を待っていて」

今は時間が切迫している。

すぐに富士市へ行かなければならない。

橘忻乃は頷いて、「わかった、蒼井美人、早く行って」

蒼井華和と如月廷真の後ろ姿を見ながら、橘忻乃と結城詩瑶は疑問に満ちた表情を浮かべた。

蒼井華和と一緒にいるこの男は誰?

蒼井華和の追っかけ?

如月廷真は自分のプライベートジェットを持っていた。

飛行機はとても大きかった。

三百人が座れる。

機内は改装されていた。

中にはレストラン、休憩室、ビリヤード室まであった。

その豪華さは、蒼井家のプライベートジェットさえも及ばないほどだった。

二人はVIP通路を通った。

客室乗務員が前を歩きながら熱心に案内していた。