イケメンが突然空から降りてきて、蒼井華和の前に立ち、送ると言った。
これは結城詩瑶と橘忻乃を驚かせた。
しばらくして、橘忻乃は我に返り、結城詩瑶を引き連れて蒼井華和の前に歩み寄り、目に八卦の色を浮かべながら「蒼井美人、知り合いなの?」と尋ねた。
そう言いながら、彼女は如月廷真を上から下まで見渡した。
男は背が高く、脚が長かった。
体つきは引き締まっていた。
シンプルな白いシャツと黒いスーツパンツを着ていたが、とてもシンプルな服装なのに、近寄りがたい冷たさを醸し出していた。
まるで恋愛小説から飛び出してきた高圧的なCEOのような男だった。
しかし、言った言葉は少し信じがたかった。空港で蒼井華和を送る?
何で送るの?
連絡バスでも?
橘忻乃は視線を戻し、「さっき蒼井美人を送るって言ったの?」と尋ねた。
「ああ」如月廷真は軽く頷いた。
橘忻乃は彼を見て、「何で送るの?ここ空港よ!あなたの家に飛行機でもあるの?」
如月廷真は平然とした表情で、「私の家にはない」と答えた。
橘忻乃が彼を嘲笑おうとした時、飛行機もないのに蒼井美人を追いかけようなんて!
しかし、男は薄い唇を開き、続けて言った。「でも、私は持っている」
橘忻乃:「......」
す、すごい人?
言い終わると、如月廷真は蒼井華和を見て、「どこへ行く?」と尋ねた。
蒼井華和は携帯の時間を確認して、「富士市よ。時間ある?」
「大丈夫」
蒼井華和は橘忻乃と結城詩瑶の方を向いて、「忻乃、詩瑶、私先に行くわ。二人は帰って私の連絡を待っていて」
今は時間が切迫している。
すぐに富士市へ行かなければならない。
橘忻乃は頷いて、「わかった、蒼井美人、早く行って」
蒼井華和と如月廷真の後ろ姿を見ながら、橘忻乃と結城詩瑶は疑問に満ちた表情を浮かべた。
蒼井華和と一緒にいるこの男は誰?
蒼井華和の追っかけ?
如月廷真は自分のプライベートジェットを持っていた。
飛行機はとても大きかった。
三百人が座れる。
機内は改装されていた。
中にはレストラン、休憩室、ビリヤード室まであった。
その豪華さは、蒼井家のプライベートジェットさえも及ばないほどだった。
二人はVIP通路を通った。
客室乗務員が前を歩きながら熱心に案内していた。