若松美智子は朝比奈瑠璃にこのような良い友達がいることを幸いに思った。遠路はるばる山を越え、川を渡って彼女を迎えに来てくれるのだから。
あの頃、彼女は泥沼に深く沈み、目の前には果てしない闇しかなかった。
何度も誰かが天から降りてきて、自分を連れ出してくれることを願った。
でも、誰も来なかった。
彼女の前には、相変わらず果てしない闇が広がっていた。
姉として。
全力を尽くしても、妹にこのような闇を味わわせることはできない。
なぜなら、実際に経験した人だけが、それがどれほど絶望的な感覚なのかを知っているから。
だから、どんな代償を払っても、妹を自分のように泥の中で腐らせることはできない。
「朝比奈瑠璃姉ちゃん、まず立ち上がって」蒼井華和はすぐに若松美智子を引き起こした。「ご安心ください。私が来た以上、必ず瑠璃と一緒に帰ります」