175:大丈夫、迎えに来たから_2

若松美智子の心の中は、何とも言えない気持ちだった。

ただ泣きたかった。

息が詰まりそうだった。

蒼井華和が自分を嫌うのではないかと心配していたが、実際は自分の考えが狭すぎただけだった。

本当に高貴な人は、身分の上下など眼中にないのだ。

雨のせいで、車のスピードは遅かった。

12キロの道のりは、昼間なら最大でも30分だ。

しかし夜は視界が悪く、山道で滑るのを心配して、1時間近くかかってようやく村の入り口に着いた。

3台の車が同時に進入した。

村に入るとすぐ、犬の鳴き声が響いた。

「ワンワンワン……」

あちこちから鳴き声が聞こえた。

若松美智子は道を見続けながら、「運転手さん、村に入ってからは道が悪いので、もう少しゆっくり走ってください」と言った。

奥山村は山の麓に位置している。