177：悪因悪果_5

さっきよりも人目を引くようになってしまったみたい。

「また止まってどうしたの？」蒼井華和は仕方なく振り返って言った。「お腹ペコペコなのに。」

如月廷真は本来、彼女に服を着替えさせる口実を探そうとしていたが、少女が「お腹ペコペコ」と言うのを聞いた瞬間、何も考えられなくなった。この世の中で一番美味しいものを全部彼女の前に並べてあげたいと思った。

「行こう。」

彼は足早に、彼女と並んで歩いた。

二人はホテルの下に着いた。

夜市は賑やかだった。

人々の声が騒がしく響いていた。

空気中には美食特有の香りが漂っていた。

しかし、どの屋台の前にも行列ができていた。

ここで如月廷真の出番となった。「何が食べたい？僕が並んでくる。」

蒼井華和は今とても空腹で、何でも食べたかった。

「うーん、タピオカミルクティーと、それから米線と、臭豆腐と、あそこの春餅も食べたいな。」

「これくらいにしておくわ。これ以上は食べきれないし。」

蒼井華和の目は他の屋台から名残惜しそうに離れた。

「大丈夫、僕もお腹空いてるから、食べきれなかったら僕が食べるよ。」

蒼井華和は一瞬にして生き返ったような気分になり、さらに食べたいものを追加で注文した。

如月廷真は一つ一つ覚えて、「空いている席を探して座っていて。今から買ってくるから。」

「うん。」

蒼井華和は空いている席を見つけて座り、如月廷真を待った。

彼女の容姿は際立っていた。

群衆の中で一際目立っていた。

今、一人で座っているせいで、すぐに声をかけられ始めた。

蒼井華和は次々と断り、はっきりと婚約者がいることを伝えた。

しかし、彼女の断りは、このような状況を止めることはできなかった。

結婚してても離婚できるじゃないか！

まして、婚約者というだけなのに。

「お嬢さん、LINEを交換しませんか？」

「美人さん、食事でもご一緒させていただけませんか？」

「......」

如月廷真が振り返ると、このような光景が目に入った。

誰かが蒼井華和を食事に誘うことは怖くなかった。

ただ、誰かが蒼井華和にタピオカミルクティーを奢ることが怖かった。

特に、すごく美味しいと評判のタピオカミルクティーなら、蒼井華和は絶対に我慢できないだろう。