手術中、朝比奈瑠璃の体が弱っていたため、予期せぬ事態が発生し、入院観察が必要となった。
手術室の外で待っていた若松美智子は、この知らせを聞いて顔が真っ青になり、すぐに尋ねた。「先生、妹は大丈夫でしょうか?」
「大したことはありません。ただ出血量が少し多かっただけです。二日ほど入院すれば大丈夫です。」
「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」そう言って、若松美智子は蒼井華和の方を向き、感謝の言葉を述べた。「蒼井さん、本当にありがとうございます。」
やはり蒼井華和は間違っていなかった。
もし今日、資格の不十分な私立病院に行っていたら、朝比奈瑠璃の状況は全く違ったものになっていたかもしれない。
若松美智子はそれを想像することさえできなかった。
「司緒が無事でよかったです。」蒼井華和は言った。
若松美智子は頷いた。
朝比奈瑠璃が再び目を覚ますと、目に入ってきたのは真っ白な景色で、鼻には消毒液の臭いが充満していた。
とても刺激的な臭いだった。
ここはどこだろう?
長い間眠っていたような気がする。
「お、お姉さん?」
若松美智子はベッドの横で寝ていたが、朝比奈瑠璃の声を聞いて飛び起き、興奮した様子で言った。「瑠璃、目が覚めた?」
「うん。」朝比奈瑠璃は頷いて、「お姉さん、喉が渇いて...」
若松美智子はすぐに水を汲みに行った。
朝比奈瑠璃は水を飲んで、少し元気になった。「お姉さん、私どうしたの?」
中絶は小さな手術のはずじゃなかったの?
手術が終わったら、その日のうちに帰れるはずだった。
なのに、なぜ病室にいるの?
若松美智子は説明した。「手術中に少し予期せぬことがあって、先生が入院観察を勧めたの!蒼井さんのおかげよ。もし蒼井さんが私立病院に行くのを止めてくれなかったら、今頃どうなっていたか分からないわ!」
朝比奈瑠璃は頷いて、「そうだったんだ。華和はどこ?」
若松美智子は答えた。「外に出てるわ。」
そのとき、蒼井華和がドアから入ってきた。
「司緒。」
彼女は手に弁当箱を持っていた。
「華和。」
蒼井華和は弁当箱から鶏スープを取り出して朝比奈瑠璃に渡した。「お腹すいてるでしょう?スープを持ってきたわ。熱いうちに飲んで。」