彼女は初めて帝州大学の招待状を見た。
蒼井華和は彼女の知り合いの中で、初めて帝州大学の招待状を受け取った人だった。
蒼井華和はタピオカミルクティーを一口飲んで、謙虚さのかけらもなく言った。「まあまあかな、世界第三位だし。」
朝比奈瑠璃も蒼井華和のために喜んで、笑いながら言った。「藤村お婆ちゃんがまだ生きていたら、きっと喜んでくれたでしょうね。」
藤村綾香老人の話が出ると、蒼井華和の瞳に寂しさが浮かんだ。
藤村綾香老人は一生幸せを味わうことがなかった。
もし彼女がまだ生きていたら……
でも残念ながら。
この世界に「もし」はない。
周防紫月は続けて言った。「そういえば、帝州大学の具体的な場所はどこなの?華和兄、知ってる?」
蒼井華和は軽く首を振って、「それは私もよく分からないわ。」
帝州大学は機密施設だった。
民間の地図では座標が見つからず、軍事地図でしか見ることができない。
言い終わると、蒼井華和は続けた。「おそらく合格通知書が届いてから、具体的な住所が分かるんじゃないかしら。」
周防紫月は本当に興奮して、「華和兄、帝州大学に入ったら、私が会いに行くわ!私まだ帝州大学に行ったことないの!」
「いいわよ。」
そのとき、周防紫月の携帯電話が鳴った。
白川恵美からの電話だった。
周防紫月は電話に出た。「もしもし、お母さん。」
電話の向こうで何か言われたようで、周防紫月は続けた。「小叔父は会社にいるはずよ!私は今外で友達とコーヒーを飲んでるの!」
「お母さん、余計な心配しないで!彼は今全然彼女を探す気がないのよ。」
「うん、切るね。」
周防紫月は電話を切った。
朝比奈瑠璃は興味深そうに尋ねた。「伯母さんからの電話?」
周防紫月は頷いて、「うん、母が小叔父の結婚問題を心配して、周りの友達を紹介してって言うの。でも私の周りには適当な人がいないのよ!」
最後まで言って、周防紫月は少し悩ましげだった。
それを聞いて、朝比奈瑠璃の目が輝き、周防紫月を見上げて、「白川さんの要求はきっと高いでしょうね?」
周防紫月は肩をすくめて、「具体的なことは私も分からないわ。私も気になるの、彼は一体どんな人が好みなのかしら!」
一体どんな女の子が、叔父の家政権を手に入れることができるのだろう。