「大丈夫よ」朝比奈瑠璃は言った。「今は夏だし」
ずっと家に引きこもっていたら、かえって疑われてしまうだろう。
それを聞いて、若松美織は何も言わなかった。
彼女は子育ての経験がないので、そういったことについてはよく分からず、朝比奈瑠璃にアドバイスをするしかなかった。
明日は遊びに行くので、朝比奈瑠璃は準備をしなければならない。まず髪を洗い、それからクローゼットを開けた。
クローゼットには服があまりなかった。
ショッピングモールで何着か選ばなければ。
もしかしたら......
もしかしたら明日、白川さんもいるかもしれない。
好きな人の前でみすぼらしい姿を見せたくない。
朝比奈瑠璃はタクシーでショッピングモールに行き、一気に3、4着の服を買い、それから姉たちと甥っ子、姪っ子にも一着ずつ買った。