192:彼女こそがタロボール様!(5更)

この家では、高城ママが榊原詩々を殴ることは日常茶飯事だった。

榊原実太の問いかけに、高城ママは黙ったまま立ち上がり、台所へ向かった。

榊原実太は彼女の後ろ姿を見つめながら、「このクソ女め」と罵り、「お前はいつか彼女を殴り殺すぞ!」と言い放った。

ただそう言っただけだった。

彼は床に倒れている榊原詩々には目もくれなかった。

椅子に座ったまま酒を飲み続けた。

おそらく榊原詩々が床に横たわっているのが邪魔だと思ったのか、もう一度蹴りを入れ、「部屋で寝てろ!」と言った。

その言葉を聞いて、榊原詩々は全身の力を振り絞って立ち上がり、壁を支えながら部屋へと向かった。

一歩進むごとに激しい痛みが走った。

頭もぼんやりとしていた。

すぐにでも眠りたかった。

高城ママは台所に入った。

食事はすでに用意されていた。

食器棚には小さなケーキが置いてあった。

ケーキには小さな文字で--

ママ、お誕生日おめでとう。

この家で、高城ママの誕生日を覚えているのは榊原詩々以外にいなかった。

高城ママはケーキを見つめ、瞬く間に目が赤くなった。

彼女はケーキを手に取り、激しく床に投げつけた。

パシッ!

ケーキは一瞬にして形を失った。

まだ気が済まないのか、高城ママは足を上げ、ケーキを激しく踏みつけた。

この「ママ、お誕生日おめでとう」という言葉は、蒼井紫苑から言われるべきものだった。

榊原詩々なんて何者だ!

私の娘になる資格なんてあるものか?

10分後、高城ママは料理を持ってリビングに来た。

榊原実太は酒瓶をテーブルに置き、箸を取って料理を一口食べ、満足げに鼻歌を歌い始めた。

食事を終え、榊原実太は高城ママに手を差し出し、「今月の生活費を出せ」と言った。

高城ママは何も言わず、部屋に戻ってお金を取りに行った。

財布を手に取ったところで、榊原実太にひったくられた。

「このクソ女め、何を数えてやがる!まだ内緒金でも作る気か?お前の金は全部俺のものだろうが!」

高城ママは我慢の限界に達し、「榊原実太、私を死に追いやる気なの?!」と叫んだ。

これまでの年月、彼女は黙々と働いてきた。

毎日、犬より遅く寝て鶏より早く起き、給料のほんの一部しか家計の足しにできず、残りは全て榊原実太の飲み食いと賭け事に消えていった!

それでもなお。