193：抑えきれない好意！_6

「急がないよ」

「何が急がないの！」白川恵美は眉をひそめた。「私があなたの年齢の時には、武人はもう歩いていたのよ！」

白川恵美が言及したのは息子の周防武人のことだった。

周防武人は周防紫月より3歳年上だった。

白川恵美は続けて言った。「武人の子供が歩けるようになっても、あなたがまだ独り身でいるなんて待ちたくないわ！」

その言葉を聞いて、周防紫月は笑いながら言った。「それもありえるわよ！ママ、私、叔父さんが女性を好きじゃないんじゃないかって本気で疑ってるの！」

彼女は白川さんが女性と親しくなるのを見たことがなかった。

「そんなことを言うものじゃないわ！」白川恵美は眉をひそめた。「礼儀知らずね！」

「だって本当じゃない！」周防紫月は母親に向かって顔をしかめた。「今時、同性愛は隠すべきことじゃないでしょう。ママ、開明的な姉として、叔父さんを支持すべきよ！」

白川恵美は箸を一本取り上げ、周防紫月に投げつけた。「でたらめを言うんじゃないわよ！口が軽すぎるわ」

新しい教育を受けていたとはいえ、白川恵美の価値観はまだ、実の弟が同性と暮らすことを受け入れられるほど開放的ではなかった！

もし白川さんが本当に男性と一緒になったら、彼女は死後も両親に顔向けできないだろう！

周防紫月はこれ以上でたらめを言う勇気はなく、ただ白川さんを見て言った。「叔父さん、自分でママに言ってよ、一体どうしたの？」

ケチすぎて彼女ができないのかしら。

明らかに、それも違う。

帝都における白川家の地位を考えれば、白川さんと結婚して白川家奥方様になりたい人は少なくなかった。

残念ながら。

それらの人々を、白川さんは誰一人として気に入らなかった。

白川恵美は焦って、続けて言った。「九さん、あなたはどんな人が好みなの？私が直接お見合いの話を持っていくわ」

「急がないよ」白川さんはまた同じ二文字を繰り返した。

白川恵美は続けた。「藤村家の娘はどう？あなたより2歳下で、一昨年大学院を卒業して、今は帝都大学で働いているわ。とても優秀な人よ」

「好きじゃない」

「どうして？」白川恵美は尋ねた。

「夜になったら見つからなくなりそうで心配だ」白川さんは言った。

白川恵美は眉をひそめた。「なぜそんなことを心配するの？」

「彼女は肌が黒すぎる」