194:犬の糞を踏んで運が向いた(7更)_2

周防紫月がこの時口を開いた。「お母さん、余計な世話を焼かないでください!あの人は華和兄がお金がかかると嫌がってるんです!」

「お金がかかる?」

運転中でなければ、白川恵美は弟を蹴り飛ばしたいところだった。

なんてこと!

恋愛でお金を気にするなんて。

白川恵美は続けて言った。「紫月、あなたの周りに適当な女の子がいたら、叔父さんに紹介してあげてね。」

弟がまだ恋愛経験すらないことに、白川恵美は本当に焦っていた。

白川さんにその場で結婚してほしいくらいだった。

周防紫月は冷ややかに鼻を鳴らした。「私が紹介?紹介しても相手が気に入らないと意味ないでしょ!これはダメ、あれは合わない、目が高すぎるんですよ!」

紹介したことはあった。

会ってもいないのに、白川さんに断られた。

一方。

蒼井家。

監視カメラで蒼井華和が帰ってきたのを見て、執事は直ちに蒼井大婆様に知らせた。

蒼井大婆様はまんたんを抱きながらリビングでテレビを見ていた。

それを聞いて、彼女はまんたんをソファに放り投げた。「榊原、今なんて言った?」

まんたん:「......」猫を殺そうとするなら直接言えばいい。

執事は笑顔で言った。「お嬢様がお帰りになりました!」

「本当?」

執事は頷いた。「本当です、奥様!」

蒼井大婆様は直ちに外に走り出した。

蒼井大婆様が外に出ると、片手にスーツケース、もう片手に犬の紐を持った蒼井華和が見えた。

「華和!」

「おばあちゃん!」

蒼井大婆様は蒼井華和を抱きしめた。

使用人が近寄って蒼井華和の手からスーツケースとモチ子の紐を受け取った。

蒼井大婆様はそこで初めて蒼井華和が犬を連れて帰ってきたことに気付き、尋ねた。「華和、これはあなたが飼っているの?」

蒼井華和は軽く頷いた。「はい。河内市で拾った野良犬です。私と縁があったので、連れて帰ってきました。」

他の人なら、蒼井大婆様は即座に拒否したはずだ。

彼女は猫も犬も好きではなかった。

でも、この人は蒼井華和!

蒼井大婆様は手を伸ばして犬の頭を撫で、慈愛に満ちた表情で言った。「この子、可愛いわね!」

そう言って、蒼井大婆様は続けて尋ねた。「名前は何て言うの?」

蒼井華和は答えた。「モチ子です。」