185:真っ向から打撃、離間の失敗!(2更)

その言葉を聞いた瞬間、朝比奈瑠璃の顔から血の気が引いた。

蒼井紫苑!

蒼井紫苑はどうやって彼女の妊娠中絶のことを知ったのか?

このことは彼女と蒼井華和、そして二人の姉しか知らないはずなのに。

その瞬間。

朝比奈瑠璃の全身から力が抜けていくようだった。

ほとんど立っていられないほどに。

このことを永遠に誰にも知られずに済むと思っていたのに、残念ながら……

今どうすればいいの?

朝比奈瑠璃は道端の手すりを掴んだ。力を入れすぎて、指の関節が白くなっていた。

「そうよ」蒼井紫苑は朝比奈瑠璃をじっと見つめ、目には得意げな色が浮かんでいた。「あなたの推測は正しいわ。私にすべてを話したのは蒼井華和よ。あなたが親友だと思い込んでいた、あの親しい姉妹がね」

蒼井紫苑の声は優しかったが、その言葉は刃物のように朝比奈瑠璃の体を一刀一刀切り刻んでいった。

血が滴り落ちるように。

彼女は必死に冷静さを保とうとした。目の前の怒りに頭を支配されてはいけない。

卑劣な人間に隙を与えてはいけない。

「朝比奈さん、実はあなたはとっくに気付いているはずよ。蒼井華和はそういう表裏のある人間なの。人前では純真無垢で何にも関心がないふりをしているけど、実は彼女こそが一番胸くそ悪い人間なのよ!」

蒼井紫苑は、この親友同士を争わせようとしていた。

蒼井華和は高慢ちきじゃないの?

だったら、最も親しい友人に裏切られる味を味わわせてやろうじゃないの。

すべては彼女の掌の上にあった。

そう考えると、蒼井紫苑は目を細めた。

朝比奈瑠璃と蒼井華和の姉妹の情は深いように見えて、実は紙より薄い。

軽く突けば、すぐに正体を現すはず。

朝比奈瑠璃は深く息を吸い込んだ。「蒼井紫苑、あなたは離間を図っているのね」

蒼井紫苑は笑みを浮かべ、相変わらず優しい口調で言った。「実は……私が離間を図っているかどうかは、あなたの心の中でわかっているはずよ。ただ、その事実を認めたくないだけなのよ」