197:直接制裁、華和兄が生き方を教える(10更)_2

蒼井華和のネット人気がこんなに高いなんて思わなかった。

【配信者すごいな!お姫様の進学祝いに参加できるなんて。】

【壇上にいるのがお姫様?】

【学問の雰囲気が漂っている!】

【お姫様に拍手。】

【うわ、この問題誰がお姫様に出したの?こんなに難しいなんて!】

【十大積分難問の一つじゃない?】

【今夜のお姫様も綺麗だね。】

そのとき、空気の中にパチパチとキーボードを叩く音が響いた。

少女は片手にノートパソコンを持ち、もう片方の手でキーボードを打ち続けていた。

その速さといったら。

残像しか見えないほどだった。

「彼女の解き方、ネットのと違うみたいだけど。」

「そもそも間違ってるんだから、同じわけないでしょ?」

「まあでも、タイピング速いよね。」

「適当に打ってるだけでしょ、速くたって意味ないじゃん!自己満足!」

「......」

藤原嵐子は背景のスクリーンを見つめながら、目を細めた。

彼女にはわかっていた。

蒼井華和が演技していることを。

蒼井華和は下からの議論の声など聞こえないかのように、素早くキーボードを叩き続けた。

キーボードを見ることもなく、それでも正確に一文字一文字を打っていく。

パソコンの画面の光が彼女の顔に反射していた。

玉のように白い顔に冷たい光が映っているかのようだった。

【あ......お姫様、これ違うんじゃ......】

【下の人たちうるさすぎ!】

【この問題難しすぎるよ!お姫様まだ高校卒業したばかりなのに。】

【でも前の人が言ってたけど、蒼井華和が自分からこの問題を解くって言ったんだって。自分がどれだけすごいか証明したかったんでしょ!でも逆効果になっちゃったね。】

【自分の家で恥をかくだけだったのに、余計なお節介な親戚が配信までしちゃって!】

【......】

みんな蒼井華和がどう収めるのか見守っていた。

この問題を正しく解けない限り。

彼女は壇上から降りることができない。

藤原嵐子は蒼井華和から目を離した。

もう見る必要がなかったから。

藤原嵐子が背を向けた瞬間。

蒼井華和の手が一瞬止まった。

キーボードを叩く音が途絶えた。

藤原嵐子は口元をゆがめた。

考えるまでもなく、蒼井華和はもう続けられないに違いない。

しかし次の瞬間。