その言葉を聞いて、皆が藤原嵐子の方を見た。
藤原嵐子は、なかなか目立つ容姿の持ち主だった。
すぐに誰かが彼女のことを認識した。
「藤原さんじゃないですか!藤原さんも帝州大学からの入学の誘いを受けたと聞きましたよ」
「本当なの?」
「もちろん本当です」
「それじゃあ、藤原さんもすごい方なんですね!」
「当然すごいけど、あそこの壇上の人ほど派手じゃないわ!」
「これは面白いことになりそうだ」
「......」
その通りだった。
藤原嵐子は意図的にそうしたのだ。
この機会を借りて蒼井華和に一つの教訓を与えようとしていた。
この世界には、優秀な人が大勢いる。
蒼井華和の人生はまだ始まったばかりなのに、こんなにも派手に振る舞い、自分のことさえ分かっていない!
言い終わると、藤原嵐子は蒼井華和を見つめ、さらに続けた。「私にその栄誉をいただけませんか?」
蒼井華和は軽く微笑んで、「藤原さんのご疑問にお答えできるのは、むしろ私の栄誉です」
彼女の疑問に答える?
藤原嵐子は眉を少し上げた。
蒼井華和の口ぶりは随分大きいものだ!
謙虚さが全くない。
橘海翔は二人を見比べ、目を転がしながら考えた。二人の才女が同時に壇上に上がるなんて、これは面白いことになりそうだ。
橘海翔は続けて言った。「では、藤原さんにも壇上へお上がりいただきましょう」
藤原嵐子は軽く微笑んで、壇上へ向かった。
壇上に上がると、藤原嵐子は橘海翔から渡されたマイクを受け取り、続けて言った。「パソコンを借りてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです」
橘海翔は頷いて、「はい、アシスタント、パソコンを持ってきてください」
アシスタントはすぐにパソコンを壇上に届けた。
藤原嵐子はパソコンを受け取り、問題を打ち込んでから、蒼井華和にパソコンを渡した。
「蒼井お嬢様、お手数ですが」
プロジェクターは藤原嵐子が出題した問題を、背景の壁に完全に映し出した。
「うわっ!これって、あの有名な数学者さえも苦戦した積分問題じゃないか?」
「後で解けたらしいけど、全自然数の二乗の逆数の和は何だっけ、ネットで調べてみよう」
「なるほど、藤原さんは蒼井華和を試しているんだ!」