188:顔面打撃、酔っ払いの華和(その1)

二人の間に。

蒼井華和は班長の方を向いて、「申し訳ありません、班長。少し遅れてしまったみたいです」

約束の時間は三時

今は二時五十一分。

橘承志の顔が赤くなり、「遅刻じゃない、僕たちが早く来すぎただけだよ」

六組の男子生徒のほとんどが、蒼井華和に密かな恋心を抱いていた。

かつて誰かが彼女をこんな言葉で表現した

--

彼女は北橋高校の男子生徒たちの青春そのものだと。

若松瑠々の表情が曇った。

蒼井華和は同窓会に来ないと思っていたのに。

まさか......

蒼井華和は橘忻乃と結城詩瑶の間に座った。

結城詩瑶は声を潜めて蒼井華和と話をした。

橘忻乃は若松瑠々を見て、「あなたの負けよ」

「レモン食べなさい」

そう言って、橘忻乃はレモンを若松瑠々の前に差し出した。「このレモンがあなたにぴったりね、同じように酸っぱいもの同士~」