二人の間に。
蒼井華和は班長の方を向いて、「申し訳ありません、班長。少し遅れてしまったみたいです」
約束の時間は三時
今は二時五十一分。
橘承志の顔が赤くなり、「遅刻じゃない、僕たちが早く来すぎただけだよ」
六組の男子生徒のほとんどが、蒼井華和に密かな恋心を抱いていた。
かつて誰かが彼女をこんな言葉で表現した
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彼女は北橋高校の男子生徒たちの青春そのものだと。
若松瑠々の表情が曇った。
蒼井華和は同窓会に来ないと思っていたのに。
まさか......
蒼井華和は橘忻乃と結城詩瑶の間に座った。
結城詩瑶は声を潜めて蒼井華和と話をした。
橘忻乃は若松瑠々を見て、「あなたの負けよ」
「レモン食べなさい」
そう言って、橘忻乃はレモンを若松瑠々の前に差し出した。「このレモンがあなたにぴったりね、同じように酸っぱいもの同士~」