若松冬音も馬鹿ではなく、蒼井紫苑を見上げて言った。「どうやって手伝うの?」
「私の言う通りにすればいいの」蒼井紫苑は続けて言った。「冬音姉、私たち長年の付き合いでしょう。私の人柄はよく分かっているはずよ。あなたが本当に二番目の兄を好きなのは分かっているわ。妹として、誰よりも兄さんの幸せを願っているの。そうでなければ、手伝うなんて言い出さないわ」
蒼井紫苑は良き妹を演じていた。
蒼井紫苑は頷いた。「もちろんよ」
彼女は蒼井家で同盟者を必要としていた。
元々、蒼井紫苑は蒼井琥翔に手を出すつもりだった。
しかし、よく考えてみると、少し危険すぎると感じた。
蒼井琥翔という人物は。
まだ若いとはいえ。
外の世界で彼の名前が出るたびに、四文字で形容される。
老獪狡猾。
しかし蒼井遥真は違った。