しかし、別の方法を取れば、蒼井遥真は黙認するだろう。
若松冬音は眉をひそめ、「でも、そんなに回り道する必要があるの?どうせお兄さんと結婚するんだから、この機会に彼を脅して私と結婚させた方がいいんじゃない?昨夜は何も起こらなかったし、これじゃ私には何の保証もないわ!時間が経って、お兄さんがこのことを忘れたらどうするの?」
もし本当に関係を持っていたら、妊娠の可能性もあったのに。
でも今は。
妊娠の可能性は全くない。
一人でどうやって妊娠するの?
妊娠できないなら、できちゃった婚もできない。もう望みはない。
蒼井遥真は本当に彼女のことを好きではない。
蒼井遥真が今まだ罪悪感を持っているうちに、この機会に結婚させた方がいい。
時間が経てば経つほど、予期せぬことが起こる可能性が高くなる。
この件について、蒼井紫苑は思いつきで行動しただけで、万全の準備はできていなかった。
だから、昨夜蒼井遥真が飲んだのは、幻覚剤だけだった。
本来、若松冬音は何かが起こることを期待していたが、死んだように眠っている男性に対して、どうすることもできなかった。
「焦らないで」蒼井紫苑は軽く笑い、目には計算高い色が浮かんでいた。「私の言う通りにすれば、二番目のお兄さんが自ら進んであなたにプロポーズするように仕向けることができるわ」
「本当?」若松冬音は蒼井紫苑を見つめ、目が一瞬輝いた。「どのくらいの確率なの?」
脅迫よりも、蒼井遥真が自ら進んでプロポーズしてくれることの方が望ましい。
彼女は本当に蒼井遥真のことが好きなのだ。
そして、蒼井遥真からの本物の愛を得たいと思っている。
「百パーセントよ」蒼井紫苑は確信を持って答えた。
それを聞いて、若松冬音は笑いながら言った。「そんなに自信があるの?」
百パーセントの確率?
言葉を続けて、若松冬音は「お兄さんは考えのある人よ。あなたの計画通りに動くって本当に確信してるの?」
どう見ても、信頼できそうにない。
蒼井紫苑は軽くうなずいた。「もちろん、でもあなたが私の言うことを聞くことが前提よ」
若松冬音はうなずいた。「いいわ、今回だけあなたの言うことを聞くわ」
蒼井紫苑にそんな力があるのか、見てみたいものだ。
蒼井紫苑は笑いながら言った。「安心して、冬音姉、絶対に期待は裏切らないわ」