言葉が終わると、蒼井遥真は立ち上がって一枚の絵を蒼井華和に手渡した。
蒼井華和は開いて見た。
それは彼女が初めて蒼井家を訪れた時の光景だった。
その時。
彼らはお互いの身分を知らなかった。
彼女は蒼井大婆様とソファに座り、とても楽しそうに笑っていた。
蒼井遥真は続けて言った。「華和、実は、あの時から、君がとても親しみやすく感じられて、その感覚はとても不思議だった。」
後に蒼井華和が十数年前に失踪した妹だと分かった時、蒼井遥真がどれほど興奮したかは誰も知らない。
蒼井華和は目を細め、口角に浅いえくぼを浮かべて、「実は私も、初めておばあちゃんとみんなに会った時、同じような感覚がありました。」
今でも思い出すと、不思議な感じがする。
......
白川邸。
白川さんはソファに座って経済新聞を読んでいた。