199:華和:高城ママは絶対ただ者ではない!_6

言葉が終わると、蒼井遥真は立ち上がって一枚の絵を蒼井華和に手渡した。

蒼井華和は開いて見た。

それは彼女が初めて蒼井家を訪れた時の光景だった。

その時。

彼らはお互いの身分を知らなかった。

彼女は蒼井大婆様とソファに座り、とても楽しそうに笑っていた。

蒼井遥真は続けて言った。「華和、実は、あの時から、君がとても親しみやすく感じられて、その感覚はとても不思議だった。」

後に蒼井華和が十数年前に失踪した妹だと分かった時、蒼井遥真がどれほど興奮したかは誰も知らない。

蒼井華和は目を細め、口角に浅いえくぼを浮かべて、「実は私も、初めておばあちゃんとみんなに会った時、同じような感覚がありました。」

今でも思い出すと、不思議な感じがする。

......

白川邸。

白川さんはソファに座って経済新聞を読んでいた。

そのとき。

周防紫月が外から駆け込んできた。

「おじさん!」

「どうした?」白川さんは眉をひそめた。

周防紫月は続けて言った。「母さんが今夜うちで夕食を食べに来てほしいって。」

この言葉を聞いて、白川さんはすぐに新聞を置いた。

今夜もまた一食節約できる。

叔父のこの様子を見て、周防紫月は呆れた。「そうそう、母さんがかっこよく着てきてって。」

言い終わって、叔父が八百年も着ているような服を見て、「今から買いに行くのは間に合わないから、クローゼットからいいのを選んであげる。」

そう言うや否や、周防紫月は二階へ駆け上がった。

その時、白川さんは何かを思い出したように、すぐに階段を駆け上がった。

周防紫月が部屋に着いて、クローゼットの扉を開けようとした時、白川さんが走ってきて、扉を押さえた。

「どうしたの、おじさん?」

「服は自分で探すから、出ていきなさい。」彼の声は落ち着いていた。

周防紫月は眉をひそめた。「なんで出ていかなきゃいけないの?」

「着替えるのに出ていかないのか?」

周防紫月は叔父を上から下まで見て、今日の白川さんはとても様子がおかしいと感じた。

「はいはい、出ていくわ。早く着替えてね。」

そう言って、周防紫月は外に向かった。

白川さんがクローゼットの扉から手を離した瞬間、周防紫月が突然振り返って、素早く手を伸ばした。