蒼井華和は戻ると、すぐにパソコンを開き、ホテルの内部システムに侵入して、その夜のホテルの監視カメラの映像を調べ始めた。
ホテルの監視カメラの映像は約半月ごとに消去される。
ちょうど消去期限が過ぎたところだった。
調査は少し面倒になりそうだった。
翌日、蒼井華和は帝都総合病院を訪れ、病院の記録から若松冬音の手術伝票を見つけ出した。
手術は主任医師自身が署名しており、問題はないはずだった。
その後、蒼井華和は院長室に行き、その日の全医師の勤務記録を請求した。
一方。
一晩考えた末。
若松冬音はついに蒼井遥真に返事をした。
二人はまたカフェで会うことにした。
若松冬音は今日とても時間通りに来た。
彼女は蒼井遥真の向かいに座った。
蒼井遥真は単刀直入に切り出した。「冬音、決心はついた?」
若松冬音は頷いた。「決めたわ」
「本当に私と結婚してくれるの?」
蒼井遥真は真剣に頷いた。「ああ」
「いいわ」若松冬音は続けた。「でも一つ条件があるの」
「何でも言ってくれ。僕にできることなら、必ずやってみせる!」蒼井遥真は言った。
「結納品は一つも欠かさないこと。それと、三日以内にあなたの両親に私の実家に挨拶に来てもらいたいの」言い終わって、若松冬音は少し間を置いて続けた。「あなたの両親とあなたの態度を見たいの」
若松冬音は既に決心を固めていた。
今度こそ。
両親の顔を立ててやろうと固く決意していた。
蒼井遥真の返事を待たずに、若松冬音は続けた。「もちろん、断ることもできるわ。安心して、私、若松冬音はグズグズする人間じゃないから。もしあなたが諦めるなら、すぐに海外に行くわ。あなたに迷惑はかけないから」
蒼井遥真はすぐに答えた。「承知した。結納品は一つも欠かさない。それに、私の名義の企業グループの株式10パーセントを結納金として用意しよう。叔父さんと叔母さんにも、私の誠意が伝わるはずだ」
「両親の訪問については、すぐに相談してくる。早ければ明日、遅くとも明後日には伺います」
このような事は、さっさと決めてしまった方がいい。
若松冬音はコーヒーを一口飲んで、「そんなに気負わなくていいわ。いつでも考え直してもいいの。私だってあなた以外と結婚できないわけじゃないし」