「私は彼女なんて全然愛していない!」蒼井遥真は続けて言った。「突然彼女と結婚しようと思ったのは、蒼井紫苑が若松冬音と共謀して罠を仕掛けたからだ!冬音が私の酒に薬を入れて、さらに自分が妊娠して病院で堕胎したと嘘をついたんだ!」
その言葉を聞いて、篠崎澪は呆然とした。
傍らの蒼井修誠も呆然としていた。
誰も、事の成り行きがこれほど複雑だとは思っていなかった。
また、若松冬音がこのような恥ずべき行為をするとは思わなかったし、さらにこの件が蒼井紫苑と関係があるとは思いもしなかった。
「骨肉の争いだ!」蒼井修誠は蒼井紫苑を指差して、怒りながら言った。「彼は誰だ?お前の兄だぞ!よくも部外者と手を組んで自分の兄を陥れようとするな!」
しかも、名誉に関わる事だった。
もしこれが外に漏れたら。