202：家から追い出し、絶縁する

蒼井華和は少し目を上げ、そのまま蒼井遥真を見つめながら、赤い唇を開いて言った。「疑っているのではなく、確信しているのです。この件は間違いなく蒼井紫苑と関係があります。むしろ、紫苑が首謀者だと言えるでしょう」

その言葉を聞いて、蒼井遥真は眉をひそめた。

紫苑は彼が幼い頃から見守ってきた妹だった。

素直で、思いやりがあった。

二人は血のつながりはなかったが、遥真は紫苑を実の妹のように思っていた。

紫苑。

紫苑がどうして彼女にこんなことを！

しばらくして、遥真は華和を見上げ、苦しそうな声で言った。「妹よ、もしかして、何か勘違いしているんじゃないか？」

彼は紫苑がそんなことをするとは信じられなかった。

この裏切りは息もできないほどの衝撃だった。

結局のところ。

遥真の心の中で、紫苑は華和と同じくらい大切な存在だった。

兄として。

彼は紫苑のために持参金まで用意していた。

紫苑が結婚する時に、自分の手で渡すつもりだった。

彼には二人の妹しかいないから、自分の妹たちには、みな華やかに嫁がせてやりたかった。

「お兄さん、私はここに動画も持っています」

それは紫苑がカフェで若松冬音と会っている動画だった。

三日前のことだ。

華和は続けた。「お兄さん、なぜこの二日間、紫苑と冬音の会う頻度があんなに高かったのか、考えたことはありますか？」

「それに、あの夜のパーティー会場で、紫苑に会った後、なぜ冬音がグラスを持ってきて、お兄さんと酒を飲もうとし、もう二度とお兄さんに執着しないと言ったのでしょうか。これら全てが繋がっているのを、不自然だと思いませんか？」

ここまで話して、華和は何か思い出したかのように、さらに尋ねた。「そうそう、お兄さん、冬音の妊娠のことはどうやって知ったんですか？」

「それは......紫苑から聞いたんだ」

紫苑のその時の言葉と表情を思い出し、遥真は背筋が凍る思いがした。

もしこれら全てが紫苑の計画だったとしたら。

彼女はあまりにも恐ろしい人間だ！

「彼女は何と言ったの？」華和は尋ねた。

遥真は紫苑の言葉を思い出しながら続けた。「紫苑は前日に病院で冬音に会ったと言っていた。中絶した日のことだ」

ここまで話して、遥真は突然何かを思い出した。