201:蒼井紫苑こそが黒幕(2)

ここまで話して、蒼井華和は一旦言葉を切った。「それに、午後3時20分の時点で、若松冬音はショッピングモールで買い物をしていました。」

この時間帯、彼女は病院に行っていないのに、どうやって中絶できたというのでしょう?

そう言いながら、蒼井華和は少し身を屈め、マウスをクリックして次の映像に切り替えた。

これはショッピングモールの衣料品店内の映像だった。

映像の中。

若松冬音は服を選んでいた。

数人の販売員が彼女の後ろについて回り、蒼井紫苑が選んだ服を抱えていた。

監視カメラの映像に映る若松冬音の様子は、中絶手術を受けたばかりの人のようには見えなかった。

「そうそう、これが若松冬音の買い物記録です。」

蒼井華和はマウスの下に挟んでいたレシートを取り出し、蒼井遥真に渡した。

蒼井遥真は少し呆然としていた。

彼はレシートを受け取った。

そこには買い物時間が明確に記録されていた。

「ま......まさか若松冬音は中絶していない?」しばらくして、蒼井遥真はようやく言葉を絞り出した。

「中絶していないのではなく、そもそも妊娠していなかったのです。」言い終わると、蒼井華和は続けて言った。「そうそう、お兄さん、若松琴璃が誰か知っていますか?」

蒼井遥真は首を振った。

蒼井華和は言った。「若松琴璃は若松冬音の叔母です。」

実の叔母が病院の産婦人科主任なら、偽の中絶証明書を作るのは簡単すぎる。

なんだって?!

これを聞いて、蒼井遥真は目を見開いた。

「それに、あの夜、お兄さんと若松冬音が飲んだお酒にも問題がありました。」蒼井華和は再びマウスを操作して次の映像に切り替えた。「お兄さん、ここを見てください。」

蒼井華和はあの夜の宴会場の映像を復元するのに多くの時間を費やした。

彼女は再生速度を遅くした。

若松冬音がグラスを手に取った瞬間、素早く彼女と蒼井遥真のグラスを入れ替えたのがはっきりと見えた。

若松冬音が飲んだのは蒼井遥真のお酒だった。

そして蒼井遥真が飲んだのは、若松冬音のお酒だった。

若松冬音のお酒に問題がなかったのなら、なぜ二人のグラスを入れ替える必要があったのか。

蒼井遥真は眉間にしわを寄せ、端正な顔に表情を浮かべなかった。

これらすべてが若松冬音の周到な計画だったとは、夢にも思わなかった。